父さん、 私デートに行きました。 行っちゃいました、初デートです。 齢二十四にして、記念すべき 初の、デートでした。 父さん、 あの駅前のお店、 覚えていますか。 何故かクラシックが 爆音でかかってる 変な喫茶店。 母さんには内緒で 生まれて初めて 二人きりで 話をした場所です。 今日そこでお茶しました。 おしゃれなカフェで ケーキ食べたあと、 何故かクラシックが 爆音でかかってて 面白いんですよ、 とか何とか言って、 うまいこと連れ込みました。 あの夜、 私は、 あなたが赤ちゃんの私と 私の母ではなく、 私の知らないひととの 幸せを選んだことに 耐えきれなくて、 向き合えなくて、 まだ温かい カフェラテを半分 カップに残して 思わず席を立った。 今日、 私は、 私の椅子を引いて 座らせてくれる人と、 ミルクティーが すっかり冷めるまで、 あれやこれや、話して 大笑いして、 最後のひとしず