齊藤裕之(同善会クリニック 副院長) 加熱する医師不足の報道 「地域の小児科医不足」「都心で起きた妊婦のたらい回し事件」,ここ最近のメディアは医療問題に関する報道がますます加熱している。日本全体が深刻な医師不足に悩まされ,患者は自分の健康問題を医師に相談するまでに高いハードルを越え,ようやく受診にこぎつけられる地域も少なくない。一方,医師は過酷な労働条件のなか,不眠不休の労働を余儀なくされ,そうした状況のなかでも懸命に地域の健康問題を支えている。さらに高齢化社会の兆しが医療現場でも見え隠れしている。患者の健康問題は以前よりも重症化,複雑化し,1人の患者の健康問題を解決するためにさまざまな専門家からの視点が必要になることもある。しかも,患者の権利意識が高まり,訴訟問題が報道されるたびに私たちは常に緊張感を持って患者に接することを意識づけられるが,その緊張感が切れたとき「立ち去り型サボタージュ
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