年が明けてからこっち、ニュースの見出しを眺めながら思うのは、外信記事の貧困さだ。主だった通信社や新聞社が海外の支局を閉じる流れが続いていることもあるのだろうが、そもそも新聞読者が海外の出来事に関心を抱かなくなっている。 20世紀の終わりに、「出羽守(デワノカミ)」という言葉がしきりに使われたひところがあった。意味するところは「外国かぶれの日本人」くらいだろう。当時は、何かにつけて「米国では」「フランスでは」「ヨーロッパでは」と、海外発の話題を披露して、それらに比して日本社会がいかに遅れているのかを嘆いてみせる人がいた。それが「お前の手柄でもなかろう」という反発を呼んで、「デワノカミ」という言葉が生まれた次第だ。 完膚なきまでの敗戦と貧困の中から復興した戦後の日本は、欧米に追いつき追い越せの気分を共有する社会だった。復興が一段落して、経済や社会の混乱が整理されると、今度は、文化的な面で欧米諸