若い見習の個々の技量に合わせて適切に教えたつもりで来た30年間、ごく希に人格的な問題で声をあらげたこともなかったわけではありませんが、仕事ができないことで怒ったことは一度もなかったはずです。 で、 前回書いた「おこらずに育てる」で果たしていい職人がそだったのか? 答えははっきりとダメでした。 というより、怒っても怒らなくても、私が技術的にも人間的にもはるかに越えられてしまったな。。。と思うほどの職人は育たなかったといっていいと思います。これはひたすら教育という側面でのわたくしの能力のなさが原因です。 まっ、吉兆さんで修行したから、千花さんで修行したからといって次々と人材が出てくるわけではないことを考えれば、本人の資質の問題でもあるのかもしれません。 技術はそれなりに身についても、そこから先にあるもっと大切な料理人としての素養や店主としての経営能力まで考えると、修業先を越える店を作り上げるこ