著者: 山田碧(the hatch) 自室、スタジオ、ライブハウス、時にはそこらの公園や道端など、街のあらゆる場所で生まれ続ける音楽たち。この連載では、各地で活動するミュージシャンの「街」をテーマにしたエッセイとプレイリストをお届けします。 ◆◆◆ 私が生まれ、育ち、住んでいる街、紛れもなく地元である札幌市。 多くの機能や施設が中央区に集約され、他の地区は大半が住宅地とあきれるほど広大な森林が占める極端な街だ。歴史が浅く、雪も重たいため、風情のある日本家屋などはなく、かといって真新しい建築物が軒を連ねることもない。 私はそんな退屈な街並みを、昼も夜も、友達といるときも、ひとり思い悩むときも、ことあるごとに散歩をするのが好きだ。 深夜、人通りの少ない車道の真ん中を歩きながら手を叩き、抜けていく音、跳ね返る音を確かめる。季節によって移り変わる気温と湿度は、鳴らされた物の音像も移り変える。 特に