虐待を受けた児童の保護を巡り、児童相談所(児相)の職員が保護者から暴言や暴行を受けるケースが2006年度に全国で140件に上り、記録のある1998年度の5倍以上に増えたことが厚生労働省の外郭団体「こども未来財団」(東京都)の調査でわかった。 暴力をふるわれたり刃物で切りつけられたりするケースも起きている。虐待家庭への立ち入り調査権など児相の権限が強化され、親とのトラブルが急増していることが背景にある。 「何で家に帰せないのか」。昨年10月、佐賀県中央児相の相談室で虐待やネグレクト(育児放棄)を受けたとして施設に入所する中学3年女児の母親(40歳代)が児童福祉司など職員3人に声を荒らげた。 女児が施設を退所するかどうかの相談中で、母親は「娘と一緒に暮らしたい」と申し出たが、女児が拒否。職員が「(女児の)意思を尊重したい」と伝えると、母親は突如、机やドアをたたいて怒りをあらわにし、職員に殴りか