[東京 13日 ロイター] 「昨年3月12日に桟橋まで歩いて行った時、1年くらいはどうにもならないのではないかと思った」──。新日本製鉄<5401.T>釜石製鉄所の谷田雅志所長は、東日本大震災で損壊した港湾施設をみて愕然とした。しかし、約1カ月後の4月13日には稼働を再開、8月下旬にはフル生産が可能な状況まで回復した。コークス炉ガスホルダーが爆発するなど深刻な被害を受けた住友金属工業<5405.T>鹿島製鉄所も現場の結束力とリーダーシップで戦後最大の震災を素早く乗り切った。 しかし、震災後に鉄鋼業界を襲った変化の波には、製鉄所の復旧とは違う次元の対応が求められている。原料高、超円高、輸入材の増加、欧州債務問題に伴う世界景気減速、タイの洪水。韓国や中国のライバルによる攻勢も収まる気配はない。震災後の外部環境の変化は、鉄鋼各社に震災復旧と同じようなスピード感を持った経営の舵取りを迫っている。