司直の手に落ちた「五輪招致のキーマン」と「長銀を潰した男」——。文藝春秋10月号より、ジャーナリスト・西﨑伸彦氏による「高橋治之・治則『バブル兄弟』の虚栄」の一部を掲載します。 ◆◆◆ 「中心になってやって欲しい」 東京都が2016年五輪の招致に敗れ、再び次の2020年五輪招致に向けて正式に立候補を表明した約1年3カ月後。12年12月に、それまで下野していた自民党が再び政権に返り咲き、第2次安倍晋三内閣がスタートした。
司直の手に落ちた「五輪招致のキーマン」と「長銀を潰した男」——。文藝春秋10月号より、ジャーナリスト・西﨑伸彦氏による「高橋治之・治則『バブル兄弟』の虚栄」の一部を掲載します。 ◆◆◆ 「中心になってやって欲しい」 東京都が2016年五輪の招致に敗れ、再び次の2020年五輪招致に向けて正式に立候補を表明した約1年3カ月後。12年12月に、それまで下野していた自民党が再び政権に返り咲き、第2次安倍晋三内閣がスタートした。
思わずそんな感想を抱いてしまった。レンタルした原付にまたがり、サトウキビ畑をつらぬく道路を走り続けて数キロ。1人も村人に会わず、1台の対向車ともすれ違わない。建物もほとんど見かけず、道路がアスファルトで舗装されているのがかえって不思議なほどだ。冗談抜きで、文明崩壊後の社会に1人だけで放り出されたような気になってくる。 空気がすこし不穏である。数百キロ南方のフィリピン海上で台風が発達しているらしいのだ。強風のせいで、晴れているのにちょっと肌寒い。しかもいっそう不穏なのは、路上に点々と黒い肉片が落ちていることだった。これらはすべて体長7~10センチくらいのヒキガエルの死体であり、路面に顔を近づけるとかすかに屍臭を感じる。 島の路上に点々と散らばる黒いシミはすべてヒキガエルの死体。たいへんな場所に来てしまったような……。 死体は乾燥してミイラ化したものと、轢死して腐っているものがあった。人間が引
尾身氏が「今の状況で(五輪を)やるというのは普通はない」と述べたのは、6月2日の衆院厚労委員会。以降、竹中氏をはじめ菅義偉首相の周辺から「五輪は尾身会長の所管ではない」といった声が相次いでいる。 確かに、尾身氏率いる分科会は、コロナ対策について科学的な知見から政府に助言を行う立場。五輪開催の可否などについて、政府から諮問を受けているわけではない。 五輪に危機感を抱く尾身会長 ©共同通信社 西浦氏はこう語る。 「五輪に伴う感染リスクは、国内の感染状況と無関係ではありません。五輪開催のリスクを評価することは、専門家としての責務です」 分科会やアドバイザリーボードの専門家たちは有志のメンバーで、これまでも五輪をテーマにした議論を非公式な形で重ねていたという。 「開催した場合に想定されるリスクの検討を行ってきました。海外から選手・関係者が来日することのリスク、人流増大に伴うリスク、医療逼迫のリスク
その近鉄の採用担当者・X氏に、不適切な行為を迫られたことを証言するのは、就職活動中の大学4回生、A子さん。X氏から「エントリーシートの添削をしてあげる」などと繰り返し誘われ、今年2月23日夜、大阪市内の和食屋で一緒に食事をすることになったという。その後、酔いが回った彼女がX氏にタクシーで連れて行かれたのは、ラブホテルだった。 A子さんが振り返る。 「『エントリーシートは中で見るから』と言われて……。行為に及ばないようソファに座っていたのですが、ベッドに寝転がったXさんは『こっちに来ないと見られないよ』と言ってきた。採用に影響が出ると思った私は断れず、肉体関係を持ってしまいました」 ラブホテルを出て解散した後、X氏はA子さんに〈最後、いろいろお誘いしてごめんね(笑)〉などとLINEを送っている。
1997年に公開された映画『タイタニック』は全世界で約22億ドル(約2400億円)もの興行成績を上げた大ヒット作である。 ©️世界中で大ヒットした映画『タイタニック』。物語のテーマになったタイタニック号の沈没は、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の中にも描かれている ©️getty この『タイタニック』と奇妙な縁がある作品が、1985年に公開されたアニメ映画『銀河鉄道の夜』だ。この縁は“偶然の産物”でしかないのだけれど、そこを意識しながら2つの映画を見ると、それぞれの作品がより立体的に楽しめるようになる。では2つの映画が、どんな縁で結ばれているか順番に紐解いていこう。 1912年4月10日、タイタニック出港の日 全ての始まりは1912年4月10日。豪華客船タイタニック号は、アメリカ・ニューヨークを目指して、イギリスのサウサンプトン港から初航海に出発した。航海は順調に進むかに思えたが、出発して4日後
衛星放送事業などを手掛ける東北新社に勤務する菅義偉首相の長男・菅正剛氏らが、総務省幹部を高級料亭などに招いていた「違法接待」問題。総務省は24日、公務員倫理法違反にあたるとして、接待を受けた官僚の懲戒処分を発表する予定だ。だが、こうした問題を起こした張本人は、衛星放送事業に関わる官僚たちに接待を持ちかけ、飲食代を支払い、手土産、タクシーチケットなどの金品を渡していた正剛氏ら東北新社だ。正剛氏らは、どのような接待を行っていたのか。現場音声からは、その接待攻勢ぶりが浮かび上がる。音声は、接待が行われた店に客として入店した複数の「週刊文春」記者が、付近の座席から録音し、他の客の声や雑音などを専門業者に依頼して除去し、解析を進めてきた。
「お前何をやってるんや。何回言えば分かるねん」 私は子どもの頃、勉強も運動もできる方だった。中学生の時、所属していた野球部ではピッチャーもやっていたし、勉強をしなくてもテストはクラスで1位だった。高校は進学校に入り、ストレートで国立大学に合格した。将来は自分にしかできない仕事に就いて、周りから尊敬されるような人間になるものだと根拠のない自信を抱いていた。 しかし大学に入り、自分はそんな人間ではないことに気付いた。やりたいことが見つからず3年間も大学を休んだ。その間、水商売のアルバイトで性格はすさみ、1年間の貧乏旅行先では、「もうこのまま死んだ方が身のためだ」なんて考えていた。キラキラした世界一周旅行などとはまるで違う。物価が安いという理由だけで東南アジアに沈み、1泊500円ほどの安宿で天井のシミを見つめていただけだ。そして結局就職もできず、西成のタコ部屋でバカ扱いされている。終わっている。
2016年に建物の建て替えのため一時休業していた渋谷パルコが、11月22日にリニューアルオープンした。73年に開店し、40年以上渋谷の文化状況に影響を与えてきたこの施設の営業再開は多くの人々に喜ばれているが、ある点については落胆の声が上がっている。新生渋谷パルコには、「本屋」が入っていないのだ。 そして、本屋を持たない形で渋谷パルコが復活したことは、現代日本における「中間領域的な本屋」の成立し難さを象徴しているのではないかと、小さな個人書店の経営者である私は考えている。 サブカルをセゾングループ資本が下支えしていた時代 休業前の渋谷パルコPart1では、86年にロゴス渋谷店(洋書専門店)が、93年にはP-BC渋谷店(2004年にリブロ渋谷店に店名変更)がオープンしており、途中12年には両店が統合されパルコブックセンター渋谷店としてリ・オープンする経緯を挟みながら、本屋テナントとして長年営業
その企業とは、レストラン予約サイトを運営する「ぐるなび」(東京都千代田区)。GoToイートは「消費者が、(1)購入額の25%を上乗せしたプレミアム付食事券か、(2)オンライン飲食予約サイト経由で予約した際に付与されるポイントを利用することで、還元を受けられる仕組み」だが、ぐるなびが今回、受注したのは(2)の「オンライン部門」だ。 経済部記者が解説する。 「このイート事業には、事務委託費として最大469億円の予算が投じられています。このうちオンライン部門の委託費は計61億円。事業者は企画競争入札で選ばれ、18社の応募のうち13社が採択されました」 HPでGoToイートを宣伝 中でも、審査委員からの得点が最も高かったのが、ぐるなびだ。委託費の配分は「過去、予約者にどれだけポイントを付与してきたかの実績に、ある程度比例する」(農水省GoToEatキャンペーン準備室担当者)ため、他の12社と比べて
俳優の伊勢谷友介(44)が大麻取締法違反の疑いで9月8日、警視庁に逮捕された。個性派俳優としての顔のほかに実業家としての一面も持つ多才な男は、有名女優とたびたび浮名を流してきた。 そんな伊勢谷の“危険な日常”を報じた「週刊文春」2013年10月10日号の記事を全文公開する(日付、肩書、年齢等は掲載時のまま)。 ◆ ◆ ◆ たびたび囁かれていた伊勢谷の“裏の顔” 「交際は順調そのもの。8月に入ってからも目黒川沿いを手をつないで歩いていたり、ダイエーで一緒に夕飯の食材を買っていたり、街中で堂々とイチャつく姿が目撃されています。以前は警戒して外を出歩くことはなかったが、6月にマンションで同棲生活をはじめたあたりからは吹っ切れたようです」(芸能記者) 結婚秒読みとも報じられる人気女優の長澤まさみ(26)とイケメン俳優の伊勢谷友介(37)。長澤は11歳上の伊勢谷に夢中だというが、彼女は伊勢谷の“本性
潰瘍性大腸炎「19歳で人工肛門、現在医師」の僕が今、伝えたいこと 安倍首相が、持病の潰瘍性大腸炎の悪化により辞任を表明されました。「病気があるなら、総理大臣になるべきではなかった」「会食ばかりしていたから病気が悪化した」など、批判の声が散見されましたが、ここには多くの誤解が含まれています。 潰瘍性大腸炎とはどういう病気か 以前も書きましたが 、僕は安倍首相と同じ潰瘍性大腸炎の当事者で、急性増悪時に大腸を全て摘出し、一時的に人工肛門となりました。19歳のときです。現在は人工肛門を閉鎖し、医師として働くなど、疾患の影響がほとんどない生活を送っています。 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症を起こし、びらんや潰瘍ができる病気です。病変は、肛門に近い直腸から、連続的に大腸全体に広がっていく性質があります。 特徴的な症状は、下血や下痢、軟便です。炎症の範囲が広がると、腹痛や発熱を起こします。自分の免疫が
「若い人たちが、その活動によるものが多いのではないか。夜の歓楽街での広がりがあるのではないか」 小池百合子知事は4月3日の定例会見で、新型コロナウイルスの感染者急増の要因について、こう述べた。 4月2日までの6日間に確認された都内の感染者数の4割は30代以下。新宿区保健所が3月末時点で把握していた感染者の約4分の1が、夜間営業に関わる業務に従事していたという。キャバクラやガールズバー、ホストクラブ、風俗店の従業員やスカウトであることが判明している。東京都は2度目の「不要不急」の外出自粛を要請した。 「客が感染」の噂がめぐり、ホステスはパパ活、芸能人は… 普段の週末は出会いを求めてクラブに集まる若者や、露出の多いドレスを着たホステスと風をきって歩くIT社長や業界人でごった返す六本木と西麻布もさすがに静まり返っていた。 21時、寿司店や焼肉店といった飲食店はまばらに開いているが、客はほとんど入
志村の容態について、志村の実兄・知之氏は「週刊文春デジタル」の取材にこう語っている。 「私も会うことはできない。(意識があるかどうかも)わからない。でも会話は出来ていないんじゃないかなぁ。井澤さん(所属する芸能プロ「イザワオフィス」社長)からも意識のことは聞けていない」 所属事務所によると、志村は3月17日に倦怠感を覚え、自宅で療養。19日に発熱や呼吸困難の症状が現れたため、20日に主治医の診断を受けた結果、港区の病院に搬送され緊急入院となった。重度の肺炎と診断され、23日に新型コロナウイルス検査で陽性と判明。24日に行われた保健所の調査で濃厚接触者の特定は終了しているが、感染経路は不明だという。 志村は3月30日から始まるNHK連続テレビ小説「エール」に、音楽家役で出演する予定だったが、NHKは志村の回復を見据えて当初4月からの撮影日程を5月に遅らせるという。だが、初主演映画となるはずだ
「退職代行サービス」が会社を辞めたいと考える人の間で話題を呼んでいる。上司のパワハラや職場の環境、同僚とのミスマッチなど、職場を変える理由は人それぞれだ。しかしいざ退職を決意しても、自力で実行に移せない人も少なくないのだという。たとえみずから退職を申し出ても、上司に突っぱねられたり激しい嫌がらせを受けたりする可能性も考えられる。 そんな悩める社会人に救いの手を差し伸べるのが、退職代行サービス。退職代行サービスでは、退職の過程で必要な連絡を代行業者が当事者の代わりに行ってくれる。基本的に当事者は会社と直接連絡を取る必要がなくなるため、退職代行サービスは「仕事を辞める」と言い出すことで生じる厄介ごとを肩代わりしてくれる、いわば「心の保険」ともいえるものだ。 退職代行サービスを展開するONE-BYE合同会社代表・桐畑昴氏の著書『明日から会社に行かなくていい 退職代行マニュアル』(扶桑社)より一部
2019年はコンビニ業界にとって波乱の年だった。2月に東大阪市のセブン-イレブン加盟店が営業時間の短縮を強行。メディアでも大きく取り上げられた。 4月には、加盟店の約4割が本部に不満を感じているなどという経済産業省によるアンケート調査の結果が発表された。6月には同省で「新たなコンビニのあり方検討会」が発足し、持続可能性の観点から議論が進められている。 一連のコンビニ騒動は、働き方改革の流れもあって、「24時間営業問題」と呼ばれることも多い。しかし取材した多くのオーナーから言われたのは「時短営業は対症療法でしかない」ということだ。 結論から先にいえば、問題の本質は営業時間ではなく、人件費の高騰などでコンビニ本部と加盟店の利益配分の仕組みが行き詰まりを迎えていることにある。 「月100万円を超える」人件費が利益を圧迫 多くのコンビニでは「粗利分配方式」という方法で、本部と加盟店が利益を分け合っ
被害を受けた多くの住宅はこうした河川の流域にあった。日本は古来、自然災害の多い国である。国土が狭く急峻な山地が多いために、河川が短く急流であることが原因だ。こうした国土に住むということは、つねに台風や地震といった自然災害と戦い続けなければならないことを意味する。 東京には107もの河川が存在する 東京のブランド住宅地のほとんどは高台にある。古くからのブランド住宅地は武蔵野台地と呼ばれる江戸城(現在の皇居)の西側に形成された。現在の番町、麹町から四谷、牛込付近がその代表だ。また外様大名の多くが武家屋敷を構えた本郷、小石川、麻布、六本木、青山などでは、邸宅の多くが地盤の良い高台に位置していた。 東京は河川が多く、現在、一級河川として多摩川水系、利根川水系、荒川水系、鶴見川水系という4つの水系がある。この水系を中心に92の一級河川が展開し、これに二級河川を含めると都内にはなんと107もの河川が存
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く