予期せぬ相手と、社員食堂で相席になる――このシンプルな現象を、制度化したらどうなるか。ちょっとした実験精神が大きな可能性をもたらす事例を紹介する。偶然の出会いを組織内で促進すれば、学習機会やイノベーションのきっかけを生むことができる。 縦割り組織の壁を打ち破ることは、さまざまな面で重要だ。たとえばコミュニケーションの促進、有意義な人脈づくり、イノベーションの誘発などにつながる。しかし誰もが知るように、部門間の溝を埋めるのは口で言うほど簡単ではない。一部の企業は幸いにも、独創的な解決策を編み出し始めている。「ランチ・ルーレット」は、製薬会社のベーリンガーインゲルハイム(BIPI)のアメリカ支社で用いられている斬新な取り組みだ。 多くの優れたアイデア同様、このコンセプトも不満から生まれた。考案者は、同社内で科学者からソーシャル・メディア戦略家に転身したデイビッド・トンプソン。ある日、ランチの相