五輪招致の成功に、世間は祝賀ムードに包まれている。一方、ネットの世界では微妙な空気が漂っている。オリンピックの招致に反対しつづけていた人たちの生の声が ── まあ、決まったことは仕方ないよね。お祭りは悪いことじゃないし……みたいな諦念のつぶやきが ── 漏れ聞こえてくる。 五輪招致を喜ぶべきかどうかの議論は、小さな論点に終始しがちだ。五輪による経済効果はあるのか、無いのか。東京の治安が良くなるのか、悪くなるのか。自然環境への負荷が無視できないレベルなのか、そうでもないのか。オリンピックの周辺的なものごとに関する議論ばかりで、そもそもオリンピックはどういうものか、どうあるべきか……といった、大局的な議論をあまり見かけない。 五輪招致に諸手をあげて喜ぶ人たちは言う:お祭りは悪いことじゃない。経済効果を見込めるし、どうして喜ばずにいられようか。 五輪招致に眉をひそめる人たちは言う:そもそもオリン