2014年06月24日12:19 カテゴリ科学/文化 官僚と民衆の距離が遠い国 中国を理解することは、これからの日本にとってきわめて重要だが、西洋の社会科学にはその道具がない。王国斌もいうように、経済的には中国は18世紀まで世界の最先進国であり、その挫折は普通の経済学では理解できない。概念装置から作り直さないと、中国はわからないのだ。 その歴史を勉強すると印象的なのは、学問と政治の距離が近く、両者がほとんど同一になっていることだ。中国では読書人という称号が最高の讃辞だが、それは知識人という意味とともに、高級官僚(士大夫)を意味していた。文書管理能力が、エリートの必要十分条件だったからだ。本書はそれを強調し、唐と宋の歴史を儒学を中心に描いている。 文書能力で官僚をスクリーニングすることは合理的である。トマセロもいうように、音声言語はすべての人類が使うが、文字を使う能力は訓練しないと身につかな