今年はよくも悪くも、ポピュリズムの年になるだろう。そこでポピュリズムの専門家(?)である渡瀬裕哉さんの記事にちょっと気になった点があるので、コメントしておく。 彼のポピュリズムについての理解はおおむね私と同じだが、彼がハイエクを参照しているのは逆である。ハイエクは民主主義(ポピュリズム)をきらっており、『法と立法と自由』では、デモクラシーではなく法の支配こそ近代社会のもっとも重要な制度だと書いた。 これは国家が正義を決める実定法(legislation)とは違い、ヒューム的な慣習の中から立ち上がってくる自生的秩序としての法(law)である。これに比べると議会制度は本質的ではなく、ハイエクは議会がポピュリズムに走ることを防ぐ「元老院」のような制度を考えていた。 これは政府をコントロールするしくみとしてはデモクラシーとは逆で、朝日新聞の好きな立憲主義に近い。次の図で「行政」は、アメリカでは大統