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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (10)

  • ファンタジーの最高傑作『氷と炎の歌』

    夢中にさせて寝かせてくれず、ドキドキハラハラ手に汗握らせ、呼吸を忘れるほど爆笑させ、ページを繰るのが怖いほど緊張感MAXにさせ、いしばった歯から血の味がするぐらい怒りを煽り、思い出すたびに胸が詰まり涙を流させ、叫びながらガッツポーズのために立ち上がるほどスカッとさせ、驚きのあまり手からが転げ落ちるような傑作がこれだ。 この世でいちばん面白い小説は『モンテ・クリスト伯』で確定だが、この世でいちばん面白いファンタジーは『氷と炎の歌』になる。 書いた人は、ジョージ・R・R・マーティン。稀代のSF作家であり、売れっ子のテレビプロデューサー&脚家であり、名作アンソロジーを編む優れた編集者でもある。 短篇・長編ともに、恐ろしくリーダビリティが高く、主な文学賞だけでも、世界幻想文学大賞(1989)、ヒューゴー賞(1975、1980)、ネビュラ賞(1980、1986)、ローカス賞(1976、1978

    ファンタジーの最高傑作『氷と炎の歌』
    echo79
    echo79 2022/11/20
    GOTは今でも時々見返すし、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」も最高だった。シーズン2見るまで死ねない
  • 物語の力を悪用する『ストーリーが世界を滅ぼす』

    物語には力があるが、毒もある。 「よくできた小話」はSNSに乗ってバイアスを拡散し、政治家はフィクションを駆使して世論を分断する。広告屋は「これを買えば幸せになれる」ファンタジーをばらまき、ジャーナリズムは「よりクリック数を稼げる」ストーリーになるよう捻じ曲げる。物語はあなたを操作し、人類を狂わせ、世界を滅ぼしかねないと憂う警世の書。 「物語がどのように人を動かしているのか」に興味があるため、物語のダークサイドを告発する書は参考になった。一方で、著者自身が物語の毒に汚染され自家中毒に陥っているのが心配になった。 物語は人を狂わせる たとえば、2018年のピッツバーグで起きた、ユダヤ礼拝所襲撃事件だ。ライフルと拳銃で武装した男が、「ユダヤ人は皆殺しだ!」と叫びながら銃撃し、11人を殺害した事件になる。 書の導入部で、この男の行動をストーリー仕立てで描いている。ごく普通46歳の白人男性が、

    物語の力を悪用する『ストーリーが世界を滅ぼす』
    echo79
    echo79 2022/10/16
  • これが教養だ! 『これは水です』

    書店に行くと「教養」を謳う雑誌やの多いこと。 ひと昔前のマジックワード「品格」「大人の~」と一緒やね。来ソレが足りなかったり欠けていることを指摘して、その雑誌なりを「買う」ことで補完できるというレトリック。あるいはソレに価値を見いだしている自尊心をくすぐるテクニック。騙されるほうが馬鹿なんだが、わたしもよく騙される(レジまで騙されたら負け)。 つまり「教養」を人質に、コンプレックスを煽るビジネスなのだ。 エセ教養人の手口 「ビジネスリーダーに求められる教養」とか「人生を豊かにする教養」という惹句で、人間関係を円滑にしたり信頼関係を築くためのツールとしての「教養」が重要だという。で、よくよく聞いてみると、ただの雑学や豆知識だったりする。要するに、アイスブレイクや知的マウンティングに使える小話のことを、「教養」と呼んでいるにすぎぬ。 そうやって「教養人」を名乗り、まとめサイトやWikip

    これが教養だ! 『これは水です』
    echo79
    echo79 2018/09/03
  • 新幹線の通り魔が読まなかった本

    新幹線殺傷事件の加害者が読んでいたという名目で平積みされた背表紙が公開されている。ドストとか塩野があるが、私は疑う。それは、棚に入っていたを一定の判断のもとに抜き取り、撮影のために平積みしたのではないかと。すなわち、棚そのものには公開に適していないが並んでいるのではないかと。 多いか?と思ったみなさん。の虫以外には1年かかっても読みきれない量です。 pic.twitter.com/iU10N8IQJU — ノザキハコネ (@hakoiribox) 2018年6月13日 なぜなら、ドストや塩野を読む人ならば、それ以外も読んでいるだろうから。他のエッセイや小説、コミックなどである。そして、それらは棚に入っているはずだ。しかし、棚を舐めるような映像は(私は)見出せなかった。「棚を全て見せない」という方針の元で抽出→公開されていたと考える。 仮に、棚に大量にマンガが並んでいたの

    新幹線の通り魔が読まなかった本
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    echo79 2018/06/21
  • 国民を説得する技術『戦争プロパガンダ 10の法則』

    国民もバカじゃない、避け得るものなら避けたいと考えている。日に限らず、喜んで戦争する国なんてない。 では、どうやったら説得できるだろうか? 世論を味方につけ、同盟国の了承を得、効率的に開戦にこぎつけるために、為政者は何をどのように語りかければよいのか? 第一に重要なことは、平和への意志を強調することだという。決して戦争などを望んでおらず、攻撃のための動員ではなく、防衛のための力が必要なのだと主張する。第1章「われわれは戦争をしたくはない」を読む限り、第二次大戦の際、ローズベルトも、東条も、ヒトラーも、ゲーリングも、異口同音に平和を唱えていることがよく分かる。 次に重要なことは、みな平和を望んでいるにもかかわらず、なぜ戦争をしなければならないか? という疑問に答えることだ。第2章「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」のタイトルで分かる。敵国が先に仕掛けてきた(挑発してきた)からであり、われわ

    国民を説得する技術『戦争プロパガンダ 10の法則』
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    echo79 2015/05/15
  • 妻の『The Last of Us』の解釈が秀逸すぎる

    この記事では盛大にネタバレしてるのでご注意を。 未プレイの方には、断言する、ハードごと買う価値がある。ここでは、わたしがプレイしている横で見ていたの観点が、あまりにも目鱗だったのでまとめた。 基、わたしする人、みてる人。敵の動線を予測したり、見落としたアイテムを指摘するのが彼女の役目。アクションが好きなわたしと、ギミックやパズルが好きな彼女との役割分担だ。完全に没入して号泣しているわたしと対照的に、冷静に観る彼女からは沢山の気づきと驚きをくれた。「 Bill と Joel でビリー・ジョエル、歌手になりたかったんでしょ」なんて小ネタを教えてくれたのもだ。 そんなが、ラストのあの意味深なシーン(エリーの"okey")を観て、こう言った。「タイトルには、二重の意味が隠されているね」 つまりこうだ。『The Last of Us』は、二つの解釈の仕方がある。一つは、死地をくぐり抜けてき

    妻の『The Last of Us』の解釈が秀逸すぎる
    echo79
    echo79 2015/02/09
  • 『ボーン・コレクター』から始めなさい

    読書クラスタには、「屈辱」というゲームがある。各人、メジャーだけど未読の作品を挙げてゆき、既読の人が多ければ多いほど高ポイントになる。「おまえソレ読んでないなんてどんだけw」と笑われる人が勝ち、というゲームだ。 ミステリの屈辱ゲームで、「ジェフリー・ディーヴァー読んでない」と言い放ったら、笑われるだけでなく、羨ましがられた。ディーヴァー知らないミステリ好きは、("ミステリ好き"と名乗って良いかどうかは別として)幸せ者らしい。なぜなら、睡眠時間と引き換えに、ジェットコースターミステリーを堪能できるから(寝かせてくれない面白さ、だそうな)。そして、ディーヴァーの作品は沢山あるけど、必ず最初は、『ボーン・コレクター』から始めなさいと、しつこいくらい念を押された。 残念ながら、眠くなる前に読み干してしまったので、徹夜小説とはなり得なかった。だが、これは確かに、やめられない止まらない。わずか数日の間

    『ボーン・コレクター』から始めなさい
    echo79
    echo79 2014/06/23
    ボーンコレクターから読み始めていれば、あとは前後しても大体全部面白いです。
  • この新潮文庫がスゴい!(徹夜小説編)

    「マイベスト新潮文庫」を探すべく、書棚と脳裏を漁るのだが……出るわ出るわ、記憶からも積山からも怒濤のごとく、文芸、海外歴史、冒険、ミステリ、ファンタジー、ドキュメンタリー、エッセイ……ありすぎて選べない。 だから、も一つ「しばり」を設ける。それは「徹夜小説」であること。ひたすら面白く、寝を忘れて読みふけった鉄板を挙げる。くれぐれも、明日がお休みの夜を見計らって手にしてほしい。 ■「シャンタラム」 グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ 未読なら、おめでとう。「これより面白いのがあったら教えてくれ」という傑作だから。憑かれたように読みふけり、時を忘れる夢中だ。(わたしは4回乗り過ごし、2度事を忘れ、1晩完徹した)。巻措く能わぬ程度じゃなく、手に張り付いて離れない。とにかく先が気になって気になって仕方がない。前知識は邪魔、完全に身を任せて、物語にダイブせよ。 とはいうものの、蛇足気味に補足

    この新潮文庫がスゴい!(徹夜小説編)
    echo79
    echo79 2012/03/05
  • 「アラビアの夜の種族」はスゴ本 【徹夜保証】

    面白い物語を読みたい? ならこれを読めッ!! 完全にヤられた。憑かれたように読む、読む、読む。巻措く能わぬ面白さではなく、手に張り付いて離れないモノスゴさ。小説で徹夜するなんて、久しぶりだ。徹夜小説シリーズ([スゴ]と[はてな])で太鼓判押されてたけど、ここまでスゴいとは… 抜群の構成力、絶妙な語り口、そして二重底、三重底の物語。 これは、陰謀と冒険と魔術と戦争と恋と情交と迷宮と血潮と邪教と通と書痴と閉鎖空間とスタンド使いの話で、千夜一夜とハムナプトラとウィザードリィとネバーエンティングストーリーを足して2乗したぐらいの面白さ。そして、最後の、ホントに最後のページを読み終わって――――――驚け! ただし、ネットで調べてはいけない。うんこがバラしているぞ。面白い物語を読みたいのなら、予備知識を一切絶って読むべし(まちがいないから)。それから、文庫版の3分冊で取り組むなら、3巻全部を確保し

    「アラビアの夜の種族」はスゴ本 【徹夜保証】
    echo79
    echo79 2010/08/14
  • 「怒らないこと」はスゴ本

    怒らずに生きるための一冊。 自分を壊さないための怒り方として、[正しい怒り方]を書いた。この記事がきっかけになって、書に出会う。著者はスリランカ上座仏教の長老で、アルボムッレ・スマナサーラという。「怒り」に対する考えや姿勢を、わたしの記事なんかよりも、ずっと分かりやすく・直裁に具体的に紹介している(誓っていうが、これをタネにしてませんぞ)。怒りのない人生が欲しい方へ強くすすめる。わたしにとって、「それなんて俺」的な確認のための読書となった。次にわたしが「怒る」とき、よりその質を観ることができるだろう。 ■ 「怒り」について、誰も知らない 最初に著者は挑発する、「怒り」について誰も知らないと。「怒るのは当たり前だ」と正当化したり、「怒って何が悪い?」さもなくば「怒りたくないのに、怒ってしまう」という人は、自分にウソをついていると断言する。「当は怒りたくない」なんて言い訳して、ホントは

    「怒らないこと」はスゴ本
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