「強制連行先で被爆した責任は三菱重工や日本政府にある」として未払い賃金や損害賠償を求めた「三菱広島元徴用工裁判」は提訴から九年近くが過ぎた。今年、中国人強制連行事件は、新潟勝訴、福岡敗訴、広島勝訴と司法判断が揺れている。しかし「国家無答責」「民法上の時効」「企業の保護義務違反」等耳慣れない用語が多く理解が難しい。そこで西松建設強制連行事件(広島高裁)で7月9日に勝訴を勝ち取られたばかりの足立修一弁護士に、わかりやすく争点を整理して頂いた。 一 裁判での請求の骨子 この裁判では、現在、日本国、三菱重工、菱重を相手方として、①強制連行・強制労働、被爆後に放置したこと、国が違法な供託を受け付けたこと、国が日本国外の被爆者を差別してきたことに関して、不法行為に基づく損害賠償。②未払の賃金・強制貯金の支払。③強制労働の際の安全配慮義務違反という債務不履行に基づく損害賠償を求めています。安全配慮義務