メキシコを中心に新型インフルエンザが世界各地に広がる中、同国だけでなぜ犠牲者が増えるのか、専門家の間で謎が深まっている。 同国の死者数(28日午後10時半現在)は152人に上る一方、同国以外では犠牲者が出ていない。疑い例を含む感染者数(同)は1995人で、豪州の88人、ニュージーランドの54人に比べて突出する。計算上の死亡率は7・6%に達する。 AP通信などは〈1〉ウイルスの種類が違う〈2〉栄養不足〈3〉水不足〈4〉大気汚染〈5〉医療体制の不備――を「考えられる理由」として挙げるが、すべて憶測にすぎない。 「感染者は報告よりもずっと多いのではないか。軽症の場合、医療機関を受診しない人も多い」と、東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は指摘する。感染者数が10倍なら致死率は10分の1に下がる。メキシコ以外の感染者のほとんどが、同国の訪問者なのも、同国内の感染の広がりを裏付ける。 メキシコでの死者の