朝日新聞は自らの戦争責任をさらに検証すべし 山本 武利/早稲田大学政治経済学術院教授 定年退職1カ月前になんとか『朝日新聞の中国侵略』を文藝春秋から出すことができた。在職は10年間に過ぎなかったが、その間に本学からはいろいろとお世話になった。何よりも自由な研究環境を与えてもらったことがありがたい。その感謝の気持ちをこめて昨年夏から本書の執筆に取り組んだ。 実は同名のタイトルの原稿を『諸君!』2004年11月号に公表していた。大陸新報社の足跡を分析しながら、朝日新聞社の第2次大戦での戦争責任を問うものであった。10年かけて大陸新報社の資料を探し、中間報告のつもりで雑誌原稿をまとめた。しかし個人の能力では資料集めに限界があることを思い知らされたので、このテーマに関する社内資料の情報公開を朝日に求めた。朝日のデスクが研究室に来て、これから始まる長期の連載があなたへの回答であると言った。ところが1