レースのカーテンが掛かった向かいのアパートの窓を眺めて暮らす女性を描く『窓の灯(あかり)』で第42回文芸賞を受賞した。同時受賞者の三並夏さんが史上最年少の15歳だったため、話題はそちらへ集中したようにみえる。 だが、その作品世界は「女の子のピーピング・トム(覗(のぞ)き見常習犯)を描いた、本邦初の小説かもしれません」(斎藤美奈子氏の選評)と、高く評価された。 「子供のころから漠然と小説を書きたかったのでうれしい」と話す。三並さんとは会見場で初めて会った。「記者の前ではっきり意見が言えてすごいと驚きました」 大学を辞めた〈まりも〉は、〈姉さん〉の喫茶店に拾われて建物の2階で暮らす。ある日、向かいの部屋に男性が越してきて、カーテン越しに映る異性を意識し始める。 レースに透ける男の体、長い髪の若い恋人、漏れ聞こえるギターの音。薄い布きれ一枚を通して伝わるおぼろげな事物が、〈まりも〉の孤独感と感受
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く