ホタルの腹部を、生物発光のブラックボックスと考えてみる。 ブラックボックスに入る原料は、およそ60年前から知られている。酸素、カルシウム、マグネシウム、そして、ルシフェリンと呼ばれる天然の化学物質だ。 出てくるものもわかっている。光子、つまり光だ。黄色、緑、オレンジ、そして青。揺らめきながら、夏の夜を彩る。(参考記事:写真家 宮武健仁「輝く光景」) しかし、ブラックボックスの内部で起きている化学反応については、ずっと謎に包まれていた。「酵素とタンパク質が化学エネルギーを光に変えるのは、非常に基本的な現象です。私たちはずっと、その生化学過程の原理を知りたいと思っていました」と、米コネチカット大学のブルース・ブランチーニ氏は語る。ブランチーニ氏の研究グループは、最新の研究でそれを達成した。夏の発光に寄与する、余剰電子を持つ酸素を発見したのだ。 最新の『Journal of the Americ