中東情勢について大学や市民の会などで話をする時に、過激派組織「イスラム国(IS)」への関心が高く、「なぜ、あんなに残酷なのか」「イスラムの教えはテロを認めているか」のような質問を受けることもある。イスラムを考える上で、暴力やテロがイスラムの名のもとに「ジハード(聖戦)」として正当化される背景や暴力を許してしまう意識などを批判的に見ていかねばならない。それにしても、ISという存在は、突出している。 特に、アラブ世界から2万人、欧米からも5000人の若者がISに参戦しているのは、全く異常としか言えない。アラブ世界で反米のアルカイダを支持する若者がいることは珍しいことではないが、そんな若者たちがすべて過激派やテロリストになるわけではない。「アラブの春」の後、思想的にはISとつながるサラフィー主義(イスラム厳格派)が広がったが、多くはイスラム的な社会公正を唱える若者たちで、暴力的で戦闘的なISに合