日本郵政グループが、非正規社員の待遇を向上させるため、正社員の待遇を引き下げるという、前段未聞の決断を行った。これまで正社員の待遇は一種の聖域とされてきたが、とうとうパンドラの箱が開いてしまった。 この話は決して日本郵政特有のものではなく、日本の企業社会そのものに由来している。企業の基本構造が変わらない限り、非正規社員の待遇を改善する代わりに、正社員の待遇を引き下げる動きは拡大していくだろう。 前代未聞の決断 日本郵政グループは今年4月、約5000人の正社員が受け取っている住宅手当を段階的に廃止するとともに、非正規社員に対して、これまで認められていなかった一部手当を支給する方針を打ち出した。 従来の企業社会では、正社員と非正規社員の間には、身分格差といわれるほどの待遇差があり、これを是正するため、同一労働、同一賃金に関する議論が行われてきた。 だがこの議論は、基本的に非正規社員の待遇向上が
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