前回までの記事はこちら: 今回はギザに行く手前、二つの王家の埋葬地を訪れた記録になります。 魚取りを描いた壁画 多くの謎に包まれた、古代エジプトのピラミッド郡。 なかでも有名なのはクフ王の大ピラミッドだと思うが、それが聳え立つギザの平原を背にして不思議な生き物・スフィンクスがじっと前を見据えている光景は、今も昔も変わらずエジプトを象徴するものとなっている。 この国に対して抱いているイメージを訪ねれば、きっと多くの人が似たものを想像するだろう。 その際に、1863年に日本から派遣された、遣欧使節団の写真を連想する人は意外といるのではないだろうか。中学や高校の歴史の授業でよく取り上げられる一枚だ。 もちろん彼らは旅行に行ったわけではなく、当時開かれたばかりだった日本の港を再び閉ざし、鎖国をするための交渉に遠方はるばる出かけたわけなのだが――巨大な古代の石像を目の前にして、一体どのようなことを考