70年代後半,DESの登場とほぼ時を同じくして,それとは異なる画期的な暗号の基本原理が登場した。2つの異なる数値データを暗号化と復号化の鍵として利用する「公開鍵暗号方式」である。この方式では,まず受信者が「公開鍵」を作成して公開鍵リストに登録する。送信者はリストの中の公開鍵を利用してデータを暗号化する。公開鍵暗号方式のポイントは,その公開鍵では復号化ができないという点だ。受信者が持っている秘密の鍵(秘密鍵)を使うことで,初めて暗号を復号化できるという仕組みである(図5)。 図5●公開鍵方式の基本的な仕組み 公開鍵方式では,受信者は複数の送信者との間で暗号をやり取りできる。 受信者は公開鍵と秘密鍵をペアで作成し,公開鍵だけを送信者に渡す。 暗号の復号化は,受信者が持つ秘密鍵でしか行えない DESを含む,それまでのあらゆる暗号方式は「データの送信者と受信者がいかにして秘密の鍵を共有するか」とい