大手学術出版社エルゼビア社が発行するジャーナルの購読料をめぐる論争が、これまでにも何度か話題になってきました。2016年には、学術出版物のライセンス契約を取り扱っているドイツのDEALプロジェクトとエルゼビアとの契約交渉が決裂したのを皮切りに、同国の研究機関が同社の電子ジャーナルを見られなくなるという事態に発展しました(エルゼビアは2017年2月に、電子ジャーナルへのアクセス権を回復させると発表)。そして同様の問題は今回、韓国でも……。 ■ 韓国の大学コンソーシアムとの交渉 2017年5月、韓国の300を超える大学図書館がコンソーシアムを結成、42のデータベース・プロバイダーとの契約交渉を行ってきました。エルゼビアの科学・技術・医学・社会科学分野の3,500以上の電子ジャーナルと35,000タイトル以上の電子ブックを搭載するデータベース「ScienceDirect」へアクセスするための費用
博士課程終了後、そのまま研究者の道を歩むか、一般的な就職をするのかは人生における大きな分岐点です。日本国内でポスドクの仕事に就くのは狭き門であり、容易ではないことは確かです。しかし国外に目を向けると、そのチャンスは広がりそうです。今回は、博士課程修了者の仕事探しに役立つ検索サイトを紹介します。 ■ 日本の博士号取得者の就職状況 文部科学省が毎年行っている「学校基本調査(平成29年度版)」を見ると、博士課程修了者のうち就職者が占める割合は67.7%、そのうち正規採用が53.3%、非正規採用が14.4%となっています。進学も就職もしていない人も18.8%います。大卒(新卒)の就職者の割合が76.1%、うち正規採用率72.9%に比べると、博士課程修了者の数字はかなり低いと言えます。これは、日本では、企業が博士課程修了という学歴をあまり重視しない傾向があることや、相対的に受け皿が小さいことも影響し
研究不正が世界中で問題となっていますが、今度は韓国で驚くべき事態が発覚しました。2007年2月から2017年10月に韓国人研究者が発表した研究論文のうち、少なくとも82件に、オーサーシップ(著者)に関する出版倫理上の不正がある、と政府が公表。研究論文の著者が、なんと自分の子どもや親戚の名前を共著者として記していたのです。なぜこのようなことが起きたのか――。そこには、受験大国の韓国ならではの理由がありました。 ■ 43本の論文を高校卒業前の息子が…… 研究論文に共著者の名前を載せるのは、研究上の責任を明確にすることが目的です。原則的に、勝手に名前を加えることは許されません。研究に貢献していない人の名前を載せる”guest authorship”や、研究に貢献している人の名前を載せない”ghost authorship”は論文不正に該当します。 前述の通り、韓国政府は大学等の研究者約7万人が出
科学研究における中国の躍進にはめざましいものがあります。2018年1月18日、米国立科学審議会(National Science Board, NSB)が、2016年に発表された科学・工学分野の論文数で中国が初めて米国を抜き、世界首位となったと発表しました。 ■ 年間で42万本超え 「中国が世界一の研究論文発信国に――」。これは、米国国立科学財団(US National Science Foundation, NSF)がまとめた統計を、NSBがScience and Engineering Indicators 2018として発表したものです。30年前、中国の科学研究論文数は世界第3位でしたが、今やEU諸国や米国を抜き、1位にまで躍進したのです。中国政府が科学分野の発展を重視していることが背景にあります。政府はそのための政策をいくつか打ち出しており、中でも研究者に対して出版報酬が支払われる
I. 「to be」との誤った併用 日本人学者が書いた論文において動詞「set」が誤用されていることを度々目にします。ここでは「set」の一つの典型的な誤用を考察します。 以下を見てみましょう。 [誤] (1) Here, x is set to be positive. [誤] (2) In the first case,Гis set to be 1. [誤] (3) We set the inter-particle force to be strictly repulsive. [誤] (4) We simplified the above derivation by setting the inverse of the correlation time to be equal to the Larmor frequency. 上の例文における「set … to be」という表現の
インターネットを介して無料で利用できるデジタルライブラリーは、いまや研究者にとって欠かせないツールです。その内の一つであるコンピューターおよび情報科学分野の学術文献のデータベース兼検索エンジンである『CiteSeer』がCiteSeerX(β版)としてリニューアルされてから10年。今も進化を続ける同ツールの有用性をあらためて見てみましょう。 ■ CiteSeerとは そもそもCiteSeerは、1998年に公開された、コンピューターサイエンスと情報科学を中心とした科学文献のデジタルライブラリー兼検索エンジンです。CiteSeerはそれまでのオンライン検索の概念を覆す画期的なもので、世界で初めて自動で引用文献のメタデータ化とインデックス化を行い、論文同士の関連付けを行ったのです。これによりユーザーは、著者名、キーワード、ジャーナル名から条件に関連する検索ができるようになりました。検索結果には
2月12日、トランプ政権が総額4兆4000億ドル(約478兆円)規模の2019会計年度の予算教書(2018年10月~2019年9月)を議会に提出し、予想どおりとはいえ科学者たちを失望させました。連邦政府の財政赤字が9840億ドルにも達するなか、国防費と移民法執行費用が増加された一方、科学の基礎研究に関しては20%以上削減されています。主要科学研究機関への予算は昨年レベルもしくは更なる削減となっており、研究者たちには厳しい状況が続きます。 ■ 削減される研究開発費 アメリカ国立衛生研究所(NIH)、国立科学財団(NSF)、エネルギー省(DOE)への予算は2017年と同水準。食品医薬品局(FDA)と航空宇宙局(NASA)の少なくとも宇宙探査に関しては増額されていますが、DOEのエネルギー高等研究計画局(ARPA-E)の月面探査ロケット打ち上げ部門、NASAの5つの地球科学計画、国際宇宙ステーシ
学術論文を投稿する際、著者は利益相反(Conflicts of Interest: COI)を開示するように求められます。これは、研究にとってバイアスをもたらす可能性のあるすべての利害関係、つまり研究助成金の出所や謝礼、特許権使用料やライセンス(商標や著作権)などの金銭的関係、および雇用契約などの個人的関係を含む経済的利害関係を開示する必要があるということです。通常、ジャーナルや学会が定めた投稿規定の中にCOIにつき何をどう開示すべきかが記されていますが、国際的には医学雑誌編集者国際委員会(International Committee of Medical Journal Editors : ICMJE)の規定が受け入れられているようです。 ■ 非経済的利害関係もバイアスになる 経済的利害関係の中で直接的なものとしては、金銭的関係です。研究助成金はもちろん、旅費なども金額にかかわらず、す
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く