「此度の成果もわしの満足するものじゃった。褒美をとらそう。なんなりと申せ」 「なんでもよろしいのでしょうか? 殿」 「もちろんじゃ」 「では……この世の真理を」 「真理とな? それはおまえが解き明かそうとしておるものじゃろう?」 「私はただこの世のありようを記述する者にございます。たしかに世界を記述しつくしますれば、真理を解き明かせたといえましょう、しかし」 「ふむ」 「近頃城下でうわさされる話を耳にしました。なんでも、世界は広がり続け、またあるいは縮み続けるであるとか」 「町人の戯言にあろう?」 「かもしれませぬ。ですがもしそれが真実なれば、世界が広がり続ける限り私の記述は追いつかず、また世界が縮むのであれば私の仕事は無に帰するのです。いずれが真実なのか確かめねば仕事を続けることできませぬ」 「……なるほどの。おまえの望みはわかったぞ。町人の戯言の根源は北方の秘教じゃ。そこへの入山許可じ