スタジオジブリの新作「ゲド戦記」が好スタートを切った。原作はファンタジーの古典的名作。父は世界が認めた巨匠。大きな重圧の中でデビュー作を完成させた宮崎吾朗監督は「やれることはやった」と、控えめに手応えを語った。 企画の研究段階から作品にかかわり、今さら断れないという状況で監督を引き受けた。だが、本当は「最後の最後まで、自分が監督をやるべきじゃないと思っていた」と打ち明ける。 アニメーションの現場の経験がない自分に監督ができるのだろうか。父が育てたスタッフの中に、「息子」という肩書で入ってうまくやっていけるのか。映画が出来上がれば、どうしても父と比較される。そうならないよう、アニメの仕事にかかわることを避けてきた自分なりの姿勢もある。それでも引き受けたのは、原作が「ゲド戦記」だったからだ。 父・宮崎駿の作品にも大きな影響を与えた米国の女性作家、ル・グウィンのファンタジー。自身も高校生のころに