これは2012年に放送されたアニメ『キルミーベイベー』のファンが、放送終了後にネット掲示板に書き込んだとされる有名なアスキーアート(AA)だ。たんなる自虐的な冗談のようにも見えるが、実のところフィクションというものの本質を突いたきわめて鋭い警句ではないかと思う。アニメは終わる。そして私たちはそのたびごとに、自分の人生と向き合わなければならない。 先日封切りされた『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(以下『シン・エヴァ』)は、まさにこのAAどおりの結末を迎えた。人類補完計画を発動した父・ゲンドウとの対話の末、彼を含めレイやアスカ、カヲルなどをそれぞれの居場所へと送り出したシンジは、エヴァンゲリオンの存在しない世界を創り出し、マリとともにこの ”現実” へと駆け出していく。アニメではなく実写(とCG)で撮られたラストシーンには、いまや彼らと同じ世界を生きる私たちへのエールが込められているよう