スウェドローとバーキンの新著『The Incredible Shrinking Alpha』は、投資の世界ではビッグデータ、高性能コンピュータ、学術研究を活用して高度な判断ができるアナリストが増えている、と指摘している。競争の激化により、「アルファを得るハードルがますます高くなっている」(アルファ=リスク調整後ベンチマークを上回る収益。個々の投資判断の成功度を測る尺度)というのだ。 この結論は重大な疑問を提起する。考えうるどんな投資戦略を取ったとしても、アルファはやがてゼロに行き着くのだろうか。もっと根本的には、賢い人間が増えコンピュータが高度化したおかげで、金融市場が真に完全なものとなり、私たちはすべての資産が正しく値付けされると信じて安閑としていられる日が、近々やってくるのだろうか。 投資判断はコンピュータに任せるべき? こんな想像をかき立てる状況を、「金融特異点」と呼ぶことにしよう。
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