近頃、なぜ主要国の中央銀行幹部のコメントが大きな注目を集めるのだろうか。中央銀行が頻繁に金利を変更しているわけではない。新しい経済分析モデルを開発したわけでもない。 金融政策の立案者が大いに注目される背景には、もっともな理由がたくさんある。たとえば、中央銀行の独立性が高まっていること、マネーサプライを監視するには極めて能力の高い専門家を任命する必要があると国民が認識していること、金融市場が深化したことなどが挙げられる。そして多くの中央銀行幹部は、金融危機に際して世界経済の崩壊を防ぐうえで十分に役割を果たしてきた、と正当な評価を受けている。 そもそも危機を招いた責任がある それでも、マクロ経済予測や政策手段(とりわけ量的緩和)の効果には不確実さが多々ある。これを考えると、中央銀行幹部のスピーチや発言が大きく取り上げられることについて、多くの学者が首をかしげる。また多くの中央銀行幹部は、金融危