8月某日、朝。幹部会議がはじまって30分が過ぎようとしていた。僕は絶望していた。会議室にいることを怨んだ。なぜなら30分経過したのに、実際には、会議は始まっていないからだ。バカバカしい権力闘争を見せられていた。ノートの片隅にコロ助を書いていた僕に声がかかっって、現実に引き戻された。「営業部長、キミはどう思う?」 A専務につくかB常務につくか。僕は、夢いっぱいの藤子不二雄ワールドから汚い現実に引き戻されたのだ。 30分前。「熱中症が予想されるため、本日の幹部会議は予定通り行われます」という挑戦的な社内メールにムカついた僕は会議室に一番乗りした。ホワイトボードに書かれた「フードロス促進!」という謎ワードに溜息をつきながら末席に座り、参加メンバーの到着を待った。地方の食品会社の幹部会議。ウチの会社は先代社長時代からの重鎮であるA専務とB常務、ともに70代の派閥争いが激化している。毎回、唾を飛ばし