「もっと優秀なメンバーがいれば……」と嘆くよりも 会社員の仕事は、基本的にはチーム作業だ。しかし共に働くスタッフを自由に選ぶことはなかなかできない。役職や立場が上がるにつれて人事に関する発言権もある程度高まるが、選択肢は限られている。「もっと優秀なメンバーがいれば……」と、自身のチームの人材難を嘆いている人も少なくないだろう。 僕もプロデューサーとしてスタッフ陣を率いる立場。当然、高い資質を持った人材に加わってほしいとは思う。しかし、事前にあまり注文はつけず、割り振られたスタッフをまずは受け入れることにしている。 この考えに至ったのは、「世界レベルの中小企業」という企画で、愛知県豊橋市の樹研工業を取材したことがきっかけだった。2002年当時、樹研工業は直径0.149ミリメートル、重さ100万分の1グラムという世界最小、最軽量のプラスチック製歯車を開発し、世界的に注目を集めていた。 松浦元男