席につくと、ステージがよく見えない――。今月開館した長野市芸術館には、いわくつきの席がある。「見えない席」も芸術なの? 「世界と長野市を芸術で結ぶ」 長野市がそうアピールする市芸術館は、世界的建築家の槇(まき)文彦氏が設計した。芸術監督は県ゆかりの作曲家・久石譲氏。計1292席のメインホールで8日にあったこけら落とし公演は満席だった。 ところがこのホール、開館までトラブル続きだった。 昨年12月上旬。建物の引き渡しを受けた市の担当者がメインホールを確認したところ、2階の左右両端付近の席でステージの一部が見えない「見切れ席」が約90席あることが判明。席の前にある転落防止用の壁が視界を遮り、ステージの約4割しか見えない席もあった。槇氏側は設計ミスを認め、改修費を全額負担した。 市は年明けから座席のかさ上げ工事に入り、見切れ席と周辺の計218席の下に、高さ18~26センチの金属製の土台を入れた。