→紀伊國屋ウェブストアで購入 古今の偉人たちの人生は、とかく神格化されてしまい勝ちだ。自らに課した課題のために他のあらゆることを犠牲にし、天から与えられた使命に没頭する姿が描写され、人並みはずれた集中力について語られる。こうして一旦誰もが納得するレッテルが貼られてしまうと、その人物への大きな先入観が形成され、他の側面が見えなくなってしまう恐れがある。 たとえば音楽家でありながら聴力を失ったベートーヴェンに貼られた「苦悩の英雄」というレッテルはその典型だろう。ベートーヴェンに苦悩があったことには間違いないが、人間としてのベートーヴェンにはもっといろいろな側面があった。お茶目なところもあったし、まずは何と言っても「色まめ」だったと想像される。色まめ、とは辞書に載っていない言葉だが、女性との交友関係においてまめな性格、という意味だ。ベートーヴェンは恋多き男としても鳴らしたのである。 19世紀、た
![『ギャンブラー・モーツァルト』ギュンター・バウアー(春秋社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/9aeade0af573b9c4d2d4f50cb8ac34f55c68a7d4/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2FK%2FKinokuniya%2F20180502%2F20180502182739.jpg)