いまわたしたちが直面している社会的諸問題の裏には、「心理学や進化生物学から見た、動物としての人間」と「哲学や社会や経済の担い手としての人間」のあいだにある「乖離」の存在がある。そこに横たわるギャップを埋めるにはどうしたらよいのか? ポリティカル・コレクトネス、優生思想、道徳、人種、ジェンダーなどにかかわる様々な難問に対する回答を、アカデミアや論壇で埋もれがちで、ときに不愉快で不都合でもある書物を紹介しながら探る「逆張り思想」の読書案内。 動物倫理と「種差別」 2012年に大学院に進学したとき、わたしが修士論文のトピックに選んだのは「アメリカの動物保護運動の歴史と、動物の扱いに関する倫理学的理論の関係」であった。その後、大学院を卒業してからも「道徳的動物日記」というブログを開設して、当初はいわゆる「動物倫理」の関する考え方や概念についていろいろと解説していたものだ。 動物倫理に関する研究をし
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