インチキな治療法の提唱者に「なぜ論文を書いて発表しないのか?」と尋ねると、たいていは「製薬会社などの既得利益を守る集団が圧力をかけて論文掲載を阻止している」といった反論が返ってくる。安価で効果のある治療法が周知されると薬が売れなくなって困る連中がいるのだそうだ。世界中のすべての医学雑誌に影響力を及ぼす巨大な権力が存在しているなど典型的な陰謀論であるが、よしんば百歩譲ってそのような陰謀が存在するとして、掲載を阻止されたという論文を公開すればいいだけだ。出版してもいいし、今だったらウェブに公開すればほとんどコストはかからない。 しかし、いったいどういう理由からなのか、彼らの出版物やウェブサイトにまともな論文が載ることはない。載るのは「詐欺師が医学知識の無い一般人を騙そうとした」もしくは「書いた本人も医学知識について無知である」という論文まがいのものだ。きちんとした情報を提示すれば、他の多くの医