我が目を疑う光景に思考が止まってしまった。 JR都内某駅構内の改札外でのこと。改札を終えて数歩ほど進んだところで衝撃的な光景を目にした。 片足のない初老の男性。 彼は改札外の構内に腰を下ろしていた。そばには普段から使っているであろう車椅子が置いてあり、彼のすぐ足元にはお茶のペットボトルとセブンスターのパッケージ。そして目の前には底の浅い空っぽの小鉢が置かれていた。 彼の姿と周囲に展開される小物を認識した時、俺の頭は真っ白になったのだ。彼の前を通り過ぎる人々は、まるで彼の存在を否定するかのように思えた。はたから見れば彼はただの物乞いのように思えるため、人々の傍観など致し方ないように感じられた。 しかし、足がない。 普段ならホームレスの物乞いにすら気がつかない自分ではあったが、今回ばかりはなぜだか無視できなかったのだ。不謹慎な意味ではないが、そっと彼に話を伺ってみたくなったのだ。俺は普段通りの