前のページへ 1|2 ※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています どの語り手も信頼できないことから浮かび上がるアナザーストーリー この『忌録』に収録されている作品は、一貫して「小説」の体をなしていない。どの文章も「著者が集めた資料」という体で、インタビューであったり、新聞記事や歴史書、メールのやりとりなどの抜粋であったり、雑誌の記事用に脚色を加えていると明言されている原稿であったりが示されるだけで、物語として気持ちのいい「起承転結」を成していない。読者は、数々の資料を読みながら頭のなかに「この資料が示している事件・怪異はこういうことなのか……?」と空想を巡らせることになるわけだ。 ところで「信頼できない語り手」という物語手法がある。物語の語り手となる人物がウソを書いていたり、精神的に正常ではない状態だったりしていて、読者をミスリードへと導く手法だ。 この『忌録』に収録されて
![エラいもんを読んでしまった~~~!!! ホラー小説『忌録』がめちゃくちゃすごいから読んでくれ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/824cc67b2a66af3b97f99c764f594a985b15f479/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimage.itmedia.co.jp%2Fnl%2Farticles%2F1908%2F09%2Fcover_news131.jpg)