東京・池袋で乗用車が暴走し、母子2人が亡くなった。この事件をめぐり車を運転していた男性に対し、「現行犯逮捕されなかったのは、”上級国民”だからだ」という憶測が出回っている。その理由について、文筆家の御田寺圭氏は「この社会には"不公平感"というマグマが蓄積しているのではないか」と分析する――。 2019年4月19日、東京・池袋の事故現場。乗用車(右奥)が歩行者をはねた事故現場を調べる警察官。(手前)は普通車と衝突したごみ収集車=東京都豊島区(写真=時事通信フォト) 「ハイパーエリート」だから逮捕されないという憶測 母子2人が死亡し、8人の重軽傷者を出した池袋自動車暴走事故。犠牲となった母子の遺族が記者会見を開き、憔悴しきった様子でその胸中を吐露する様子は、正視に堪えないほど悲痛で切実なものだった。 事故を起こした無職の男性は東京大学を卒業して官僚となり、企業の重役を務め、さらには勲章受賞者で