羽田空港を出発し、津軽海峡上空を通過したあたりで眼下、飛行機の窓一杯に見える北海道は、視界の及ぶ限り山々のうねりで構成されている。 季節にもよるのだろうけれど夏だとかなり濃い緑で、むしろ黒い、と言ってしまっても間違いではないような深い色。さらに冬になると葉を落とした樹木の集積が、白い雪との対比も相まって本当に黒々とした様子になる。眺めているだけで呑み込まれそうな大波に。土地の激しい起伏が、対峙する側にそう思わせる。 だからだろうか。 空港から旭川市街地の中心部、JR駅周辺に到着すると、その平坦さと、あまりに整然とした様子に面食らう。滑走路のように長く真っ直ぐ伸びる道路。河川の上空にひらけた空。これは言葉で説明するよりも、鳥瞰で描かれた地図を見てもらえば一目瞭然だった。ときどき京都の街を表すのに使われる「碁盤の目」という形容とも、また全然印象が違う。旭川の街は、無数の巨大な、平たい長方形の集
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