お母さんと赤ちゃん、女の子、私。飛行機の席はそのように配置されていた。もちろん知らない家族だ。赤ちゃんはふんふんというような小さい声を出して、お母さんもひそひそ声でこたえている。女の子は幼稚園児といったところか、なんだか思いつめたような顔で、びしっと座っている。飛行機が怖いのかもしれない。わかるよと私は思う。私だって飛行機に慣れるまでは、わくわくしながらちょっと怖かった。もう大人だったけれども。 どうもすみませんとお母さんは言った。何もすまないことはされていないので、お邪魔しますねーとこたえて座った。女の子はやっぱり背筋を伸ばして、膝の上の絵本は閉じたまま、まっすぐ前を見ている。こんな大きい機械が自分を乗せて飛ぶなんてほんとうに意味がわからないし、そりゃ緊張するよねえ、と私は思う。けれども私はもうすれっからしの大人なので、彼女の気持ちをほんとうにはわからないんだろうなと思う。思いながら快適