ヒトの言葉、機械の言葉 ──はじめに、川添先生は言語学とAIをご研究されていますが、そのきっかけをうかがえますか。 大学で漠然と人の心に関する学問がやりたいと思っていて、いろいろな研究室を訪問したんです。その中で、言語学の先生に「『お天気下り坂』って言いますけど、『天気上り坂』って言わないのはどうしてですか」と質問したら、「目の付け所がよい、言語学に向いている」と言われ、嬉しくなってその研究室に入ることに決めました。 その後、大学院で言語学を研究していたんですが、研究が行き詰まってしまった時に、自然言語処理の先生がアシスタントを募集していたんです。言語学という基礎的な学問ではうまくいかなかったけれど、応用的な分野で花開くんじゃないかという気持ちで、新天地に出ていくことにしました。 自然言語処理はコンピューターで言語を扱う学問全般を指すんですが、当時は論文の中から必要な情報を素早く見つけ出す