新聞が瀕死状態に陥っている。記者たちは自信を失い、読者は読みたい記事が載っていないと不満を募らせる。今、新聞に何が起きているのか。 [文:ジャーナリスト・井上久男] 新聞協会賞受賞に疑問の声 「特捜部不祥事特報 本社に新聞協会賞」 朝日新聞社の社内報「エー・ダッシュ」秋号(10月21日発行)の表紙に大きく掲げられた見出しだ。 「校了直前にビッグニュースが飛び込んできました(中略)。喜びつつ、大あわてでページを組み替えました」 最終ページに掲載された社報編集長のコメントから、その喜びと興奮が伝わってくる。 2期連続の赤字で苦しむ朝日新聞にとっては久しぶりの朗報であり、社内では受賞を聞いた役員クラスの編集幹部がはしゃぐ姿も目撃されている。 「特捜部不祥事」とは周知の通り、障害者団体向け郵便割引制度が悪用された事件に絡み、大阪地検特捜部の前田恒彦検事が証拠のフロッピーディスク(FD)のデータを、