◆◆◆ 日本人であれば無関心でいられない物語 東日本大震災を思わせる自然災害をテーマとして取り上げたことは、『君の名は。』が国民的作品になった要因のひとつであるように思えます。 それまでの新海作品は、取り上げる対象や、向けられた対象が限定されていた。『ほしのこえ』はロボットアニメの二次創作的なところがあったし(つまりファン層に向けられていた)、『秒速5センチメートル』も、ある種の精神性を持った人たち――「孤独」を愛するような人たち――のほうを見ていた。『星を追う子ども』も、ジブリ的なるものをやろうとしている。 映画『星を追う子ども』公式サイトより どれも、ある特定の趣向を持つ限定されたファンに向けられていたところがあるように思います。『言の葉の庭』は『君の名は。』につながるところはありますが、ドキュメンタリー的な生々しさがあり、もちろん熱狂的に受け入れてくれる人はいるでしょうが、全国区的な