「どなたでも歓迎」。インドの首都ニューデリーの住宅街にある図書館の掲示板には、そんな張り紙が張ってある。「すべてのカースト、階級、宗教、ジェンダーと性自認、障害を持つ人々を歓迎します」と張り紙の記述は続く。 ここは、カーストによる差別に反対する市民団体「コミュニティー図書館プロジェクト」が運営する図書館だ。利用者が思い思いに本を読んだり、スタッフが幼い子どもらに読み聞かせをしたりする風景は、日本の図書館と変わらない。しかし、冒頭の張り紙が必要なのは、インドの身分制度「カースト」外の最下層に位置付けられる「ダリット(不可触民)」が読書の機会を奪われてきた歴史があるからだ。