廣田:僕から見た須田さんは、もともとアートディレクターで実績を積まれていて、ここ最近はさまざまな形でクリエイティブの可能性を追求されています。今回は、表現の話はもちろんですが、どうすれば実際に人を動かせるのかという視点を軸に、議論できればと思います。議論に入る前に、今日の話の前提となることを少しお話ししますと、今、広告業界で働いている人たち全般に言えることですが、「私たちは広告をつくっている」と言うことに、どこか違和感のあるような雰囲気が漂っています。広告会社にいるのに、広告をつくっていることを、どこか照れているというか、斜に見ているというか、とにかくこれまでの“広告っぽいこと”をしたくない、という雰囲気があるんです。その象徴的な事例が、カンヌの広告祭です。じつは、世界的な広告のアワードだった「カンヌ国際広告祭」は、2011年に「広告」という文字がとれてしまい、「カンヌライオンズ 国際クリ
![〈広く告げる〉をやめた「広告」の新しい形とは?(前編)——東浩紀×須田和博(博報堂)×廣田周作(電通)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/058725f7e61699adfb9961ac055ec3aeb8045aa1/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.advertimes.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2015%2F06%2Fat0609020.jpg)