「本日におきまして26万の遅配でございます。考えてみますと、遅配の根というものは非常に長いものでございまして…」。いまの話ではない。半世紀近く前の昭和36年秋、参院逓信委員会で大量の郵便物遅配を追及された郵政省官房長の答弁だ。 ▼宅配便がなかった当時、個人が遠方に荷物を送ろうとすれば、郵便局や小荷物を扱っていた駅へ持って行くしかなかった。窓口は官尊民卑の気風が残り、「ひもの縛り方が悪い」としかられた覚えのある読者も少なくないのではないか。むろん、少々の遅配では謝りもしなかった。 ▼日本郵政グループの宅配便「ゆうパック」の遅配騒ぎは、そんな遠い昔を思い出させてくれた。失態を隠そうとしたのもお役所仕事そのものだが、社長の「不慣れな職員がおり、手違いも重なった」という当事者意識ゼロの言い訳も懐かしい。さすが官僚OBだけのことはある。 ▼ゆうパックとペリカン便は、郵便事業会社と日通が共同出資した新