すっかり丁寧な暮らしを損なってしまった と、心をざわつかせていたのだけど、 よくよく考えてみるともともとが ずいぶん面倒くさがりやで だらしない性格だった。 はなから損なうほどのものは 持ち合わせていなかったのかもしれない。 土曜日の昨日、 いくらひどく気怠いからといって 休日だというのになんにもしないのは いかがなものかと、 娘との約束をひとつ果たすことにした。 意を決して、 卵と砂糖とココナッツオイルをまぜ、 小麦粉とベーキングパウダーもまぜあわせ、 鉄フライパンに油をたんまり入れ、 ドーナツを揚げた。 娘につくってほしいと何度も言われ ちょっと涼しくなったらね とかわし続けていたドーナツ。 気がつけば、ちょっと涼しくなっていた。 揚げたてに砂糖をまぶし、頬張る。 「むちゃくちゃ美味しい! 将来ドーナツ屋さんになれるんちゃう?」 と、娘が興奮する。 穴は消え、いくつも黒焦げにする ドー