冒頭と最後はおもしろかったが,中盤はやや中だるみしているという印象。 で,レビューを書こうとして,その前に世間の評判はどうなのかというのを調べたら出てきたのが,誤訳問題である。事前に知っていたら避けたと思うのだが,恥ずかしながらレビューを書く段になって気づいた。これに関しては書評の中身ともかかわってくるので,後から述べる。 物語の筋としては,理想に燃え才気にもあふれる主人公の道を誤った出世ストーリーで悪くはないのだが,まず出世の方法が「お前は島耕作か!」というほどいざという場面で女性頼りであり,その才気にあふれるという設定はどこに飛んでったんだと思わせられる(島耕作も,語学が天才的にできて雑務も得意だが,危機的状況は他人の手で助かることが多い)。というか,島耕作もこうであることを考えると,意外とこういった「才気あふれる」描写というのは難しく,ある種の作家にとっては鬼門なのではないだろうか,
弱年の頃、スタンダールを識ったことがきっかけで、フランス文学の 研究者になろうと志したことがあった。もともと本を読むことは嫌いで はなかったから、ある女友達が私の16歳の誕生日にスタンダールの『赤 と黒』をくれたとき、私は貪るようにしてそれを読んだ。そして深い感 動を味わったのを今でもはっきりとおぼえている。その女友達とはそれ から一年もしないうちに別れたが、一方私の内部では、スタンダールへ の熱い想いはいよいよ募っていった。その後、私が迂遠な道筋を歩んで こなければならなかったのも、偏にその女友達とスタンダールの所為で あったけれども、今となってはそれも懐かしい想い出である。 さて、そのスタンダールであるが、その筆名はドイツの小都会の名に 由来すると言われている。ベルリンから百キロメートルあまり西に行っ たところにあるシュテンダルがそれらしい。しかし、スタンダール自
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