東京新聞:聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画(TOKYO Web)イスラエル・ファン・メッケネム《モリスカダンス》 エングレーヴィングミュンヘン州立版画素描館（ｃ）Ｓｔａａｔｌｉｃｈｅ Ｇｒａｐｈｉｓｃｈｅ Ｓａｍｍｌｕｎｇ Ｍｕｎｃｈｅｎ 円形の画面の中で、しゃれたいでたちの男たちが踊り狂っている。彼らが情熱的な輪舞で囲むのは、わずかに身体をひねらせ、左手でローブをたくし上げながら指輪をもつ女性だ。 手前の男性は大きくのけ反って、めいっぱい飾り布をひっぱっている。ひしゃげた顔は浅黒く、酔っ払っているようにも見えるが、突き出した左膝、突っ張った右足、硬く引き締まった臀部（でんぶ）など、全身の筋肉が見事に発達している。道化を挟み、これまた素敵な模様の胴着で女性にアピールする男や、前景右側で帽子を被（かぶ）ったやや動作の鈍い男より、はるかに熟練した技を身につけている。 小太鼓と笛を吹いて、男たちを狂おしいダンスに駆り立てる楽師。背を向けて彼らの愚行をあざ笑う
東京新聞:聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画(TOKYO Web)
