はじめに—高校用古文(言語文化)教科書から— この一・二年、新しい古典教科書を編纂する仕事をやっていました。新課程の教科書で、「言語文化」と「古典探究」なる科目名がついたものです。私の高校生の頃は、「現代国語」「古文」「漢文」だったはずですが、その後、「総合国語」なる名称になり、今回は、古文・漢文が中心の古典入門授業が「言語文化」となったのです。まあ、古文も漢文も「言語」であることには確かであるし、共に文化でもあることも間違いありません。だが、この名称から、内容が「古文」・「漢文」さらに古典を素材にした小説やエッセイであるということを理解するにはなかなか時間がかかりそうです。また、生徒の面々に親しまれるかどうか、やや不安ですね。 「言語文化」なる科目名については、偉いとされる先生方が集まる審議会の決定を経て文科省が行政として執行することですから、教科書作りの側としてはその決定に従うしかあり
