得体の知れない侵略生物に攻撃されている地球を含む星系、主人公は「竜の鱗が移植可能な体質」だったことから、その侵略生物と戦うために軍人となって宇宙に飛び立っていこうとしている。 移植可能な場所によってその者の性質がある程度特定でき、それは 〈額は天才、 背骨は剛毅、 腕はえばりんぼで 脛は気が早く、 足は軽やか、 胸は狂喜 ……掌は繊細〉 と言い表されるらしい。もうこの設定の粋さだけで正直くらっとくる。 手のひらに竜の鱗を持つ主人公は、その特質のとおり、繊細に世界への愛着、矛盾、自己と他者のありようの微妙な差、そして違和感を探り出していく。 軍人には向いていないとも思える彼女の戦いは始まったばかり。 戦争という非常事態のなか、この違和感に彼女がどう向き合っていくのか、楽しみな作品。